自然周期採卵と卵巣刺激(高刺激)どちらが良いか?【自然周期は日本だけ。英国は禁止】

 

体外受精の際「自然周期」と「卵巣刺激周期」による採卵どちらが良いと思いますか?という質問をいただきました。

私自身の経験と医師に聞いた話をもとに、私個人の考えを書きます。

(向き不向きもありますし、どちらが必ず正しいというものではありません。)

 

 

まず、この話の大前提となるところを、ざっくりわかりやすく書きますね。

 

自然周期採卵と卵巣刺激周期(高刺激)採卵の違い

 

自然周期採卵とは?

薬を使わず、自然に育ってくる卵子がいい大きさになった頃合いで採卵する方法です。
基本的に月にひとつだけ卵が育ちます。

【メリット】
●排卵誘発剤の副作用がない
●薬代がないので安い
【デメリット】
●基本的に1回に1個しかとれないから可能性が低くなる

卵巣刺激周期(高刺激)採卵とは?

排卵誘発剤で卵巣を刺激し、複数の卵を一斉に大きく育てて採卵する方法。
お薬によく反応すれば一度にたくさんの卵がとれます。

【メリット】
●いっぱい採れるから可能性が高まる
●なんだったら1回で2人目3人目のぶんも採れるかもしれない
【デメリット】
●薬代がかかる
●薬の副作用が出るかもしれない

●自己注射が怖い

 

 

超ざっくり言うとこんな感じです。

では、本題へ。

 

自然周期採卵は日本でしか行われていない!英国では禁止

自然周期採卵は日本では一定の人気があります。

日本人はナチュラル大好き。「薬を使わないので自然!」「身体への負担を少なく!」というフレーズに響く人が多いです。

加藤レディスクリニックや神戸夢クリニックのような有名医院で自然周期派の所があるせいもあると思います。

 

しかし、海外の医師いわく、自然周期採卵はいまや日本だけでしか行われていないそうです。


ヨーロッパ、米国、オーストラリア、東南アジアなど日本以外の全ての国では、体外受精は全て卵巣刺激で行っています。

 

それどころかイギリスでは、国が定める不妊治療のガイドラインで「医師は患者に自然周期採卵を提案してはいけない」とまで明記されているそうです。

これは、出産率が極端に低く、正式な医療として認められていないからというのが理由です。

 

自然周期なら毎月でも採卵できるけど、かえって遠回りかも

 

薬を使わない自然周期なら、毎月でも採卵できるといいます。

しかし、その1個が妊娠できる卵子かどうかは全くわかりません。

というか、私のように何十個採卵しても ことごとく染色体異常だった身としては、ほぼ可能性がないことに1カ月を費やしてしまう気がしてなりません。

 

毎月1個採卵して → ダメで → また来月トライして →
・・・と繰り返していたら、結局お金がかかるし、毎回毎回卵巣に針を突きさすことになるわけで、そちらのダメージも気になります。

 

リプロダクションクリニック大阪の松林秀彦先生も、ブログでこう言っています。

「自然周期の体外受精」も全然自然ではないと思います。採卵回数が極端に増えます。「薬剤を使わない」という点では自然ですが、採卵が多いことは自然ではありません。

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ より引用

 

静岡県の不妊治療クリニック岩端医院は、このように書かれています。

通院回数が少なく、費用も安く済むため、この方法を勧めるクリニックもありますが、その臨床成績は極めて悪く、1回の採卵で100人が治療を開始しても6名ほど、即ち 6%ほどの方しか妊娠しません。この方法を10回くり返した結果と標準的体外受精法1回の成功率は同じです。
このような結果は正式な学術雑誌にも報告されていますが、その実態を患者様に話す施設はあまりありません。
クロミフェンという経口の排卵誘発剤を用いたとしても成績の向上はわずかで大きな期待は出来ません。

岩端医院HPより引用

 

クロミフェン=クロミッドなど飲み薬だけ使う方法=「低刺激法」も、成績の向上はわずかと書かれていますね。

 

 

では、自然周期 推奨派の意見は?

 

自然周期推奨派の意見としては、

自然にひとつ育って来る卵胞=「主席卵胞」は、選ばれし卵のはず!

自然の摂理として、それは妊娠に適した卵なのだ!

たくさんの卵胞を無理やり育てても、質のよい卵にはならないはず!

・・・というものです。

確かにそう言われると一理ある・・・?と思ってしまいますよね。

 

 

自然周期の卵と刺激周期の卵の染色体異常・卵の質は変わらなかった

 

しかし、自然周期でできた「選ばれし」はずの卵と、卵巣刺激の薬を使った卵とで、染色体異常の発現に違いはなかったという報告がありました。

東京HARTクリニックは、以下のように説明しています。(ちょっと長いので後で解説します)

自然周期で得られた胚の染色体異常の出現頻度を研究した報告(2008, Human Reproduction)によると、異数性のある胚の割合は卵巣刺激を行った場合と変わらない結果でした。この論文では30名の患者さん(平均年齢31.4歳)を自然周期で採卵し、ICSIを行い6分割期にFISHという方法で7種類の染色体の異数性を検査(PGS)しました。30周期で21個の卵が採れ、15個が正常受精し、11個の分割胚に対しPGSを行ったところ、4個は異数性がある異常胚であり(36.4%)、異数性のない6個を移植し2人の女児が生まれました。つまり、30人中出産に至ったのはたったの2人でした。最近の大規模なアメリカでのPGSのデータでは、30歳代前半の刺激周期の8~10個採卵での染色体異常率は38%であり、このことからも自然周期採卵の方が良好胚が得られるとは考えられません。

東京HARTクリニックHPより

 

ちょっと専門用語が多くてわかりにくいでしょうか。

要するに、「自然」の方法で30周期かけて21個採った卵の異常率は36%。
「刺激」の方法で10個採った卵の異常率は38%。(←採卵回数は書いてませんので不明ですが1~せいぜい数回だと思います)

ほとんど変わりありません。

違いと言えば、かかった時間です。

30周期といったら、生理30回分ですから2年以上。

同じ数の卵を採るのに刺激法で1~数回で済むなら1~数か月です。

 

 

私の個人的結論

 

「自然」にこだわってしまうと、不妊治療において最も大切ともいえる「時間」を失う危険性が大きいと、私は思います。

そのうえ、卵の質に違いがさほどないのであれば、やる意味があまりない気がする。

 

あるとすれば、高刺激を何度繰り返してもダメで、「押してもダメなら引いてみな」でトライする時です。

まれに、高刺激をお休みして、その後自然妊娠または自然周期採卵で妊娠したようなケースがこれです。

 

また、高刺激をしても薬に反応せず、1個とか2個しか卵が採れない方。

そして、排卵誘発剤がどうしても合わず、ひどすぎる副作用が出てしまう体質の方です。

私に関して言えばですが、恐れていた「身体への負担」=排卵誘発の副作用はほとんどありませんでした。

 

私は多嚢胞性卵巣症候群で、排卵誘発剤で刺激をするとOHSS(卵巣刺激症候群)で卵巣が腫れたりする可能性が高いと言われていました。

が、実際にはなりませんでした。そして吐き気などの体調不良もほぼありませんでした。
(ピル同様、ホルモンなわけなので多少のだるさなどは仕方ないと思っていました。あっても薬の投与は10日間以下です)

これについては人によって全く違うので何とも言えません。耐えがたいほど酷い症状が出てしまう人もいます。

が、クリニックで細かく管理して薬を適宜調整したりしていけば、そこまで恐れる必要もないと言われています。

 

私としては、とにかく卵子の染色体異常の多さと時間というものの大切さを実感した一人ですので、中途半端にお金と時間を使ってしまうよりは、やるならやる!短期決戦!の精神で、刺激法のほうが良いのではないのかな、と思っています。

 

ご参考になれば幸いです。

 

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