NHKのドラマ「透明なゆりかご」を見ました。
泣きすぎて嗚咽しすぎて呼吸困難になるかと思いました………..
前回書いた「コウノドリ」同様、産婦人科が舞台のドラマ。
コウノドリが大病院を舞台としていたのに対し、こちらは海の近くの小さな個人病院。
あちらが現代的でアグレッシブな雰囲気のドラマなのに対して、こちらはなんだか白っぽいもやの中にいるような、夢の中にいるような雰囲気です。
CHARAさんの主題歌「せつないもの」も優しく切なく物語を包み込みます。
雰囲気はやわらかいのですが、実はコウノドリよりもさらにシビアな現実を描き出しています。
妊婦や胎児、新生児の死亡や虐待などなど・・・
無事に元気な赤ちゃんが生まれて、自分自身も元気だという事がまったく当たり前ではなく、奇跡的でかけがえのないものなんだと感じられて、感謝の気持ちが芽生えてきます。
中でも第1話の「命のかけら」と最終回の「7日間の命」は、涙が止まりませんでした。
第1話の「命のかけら」には「コウノドリ」の第1話と同様、「野良妊婦」が登場します。
経済面や色々な事情で病院をまったく受診していない妊婦。
今回は、不倫の子をみごもった女性で、産みさえすれば不倫相手と結婚できると思ってたのに、実際は叶わず、赤ちゃんだけが残った。
最初は赤ちゃんなんて見たくもない、会いたくないという態度だったのですが、病室に連れてこられた赤ちゃんに初めて触れた時、何かが目覚め、ひとりでがんばって育てていく、と思い直し、明るく退院していきました。
しかしその直後に、彼女の赤ちゃんが亡くなったということがわかります。
原因は窒息死。
この時のシーンが、もう本当に本当に、授乳中の身には心に突き刺さるような展開です。
夜中、隣に寝ている赤ちゃんが泣き始め、横たわりながら母乳を与えるお母さん。
赤ちゃんは嬉しそうにおかあさんのおっぱいに吸い付いて、いっしょうけんめい飲みます。
お母さんはウトウトし始め、眠り込んでしまう・・・・
お母さんは微笑みながら、力が抜けていき、徐々に赤ちゃんの上に覆いかぶさってしまう・・・・・・・
静かに静かに、おかあさんのおっぱいを加えたまま息がとまっていく赤ちゃん。
赤ちゃんは悲しいさみしい思いをしたわけではなく、お母さんの愛情に包まれたまま死んでいく。
悲しい悲しいシーンなのに、なんとも美しい描き方でもあり、涙が止まりません。
しばらくこのシーンを思い出しては泣いてしまったほどです。
そして最終回の「7日間の命」。
妊娠中、胎児に重い心臓病があることが発覚し、たとえ生まれてこられても長くは生きられないだろうと宣告される夫婦。
それでも産む事を決意します。
次第に大きくなっていくお腹。でも外の世界では生きられない運命の子。
『ずっとおなかのなかにいればいいのに』
この妊婦さんの言葉が、痛いほどわかります。
そして数か月後、無事に出産します。
とても可愛らしく、まるで普通の元気な子のようにも見える赤ちゃん。
家族3人で笑いながら写真を撮ったり、おっぱいをあげたりします。
もしかしてこのまま生きられるんじゃないか・・・・・・・・
そんな淡い期待もかき消すように、数日後、赤ちゃんは弱っていきます。
もうこれ以上は難しいから、最後ぐらい管をはずしてあげましょう、抱っこして最後の時を過ごしてあげましょう、と。
はずしたら、次第に呼吸が弱っていき、ゆっくりゆっくり、静かに消えていく命・・・・・・
夫婦は泣きながら名前を呼び、「幸せにしてあげたかった….」と言います。
母親役の鈴木杏さんの演技が、壮絶で素晴らしかった。
十月十日おなかで育てた我が子が目の前で息をひきとっていく、この時の母親の状態を見事に演じていました。
しゃくりかえるほど泣き、悲しみに浸ったと同時に、今ある命はあたりまえのものではなくて、本当に感謝すべきもので有難い、と気づかせてくれた名作です。
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